オラショ

昨年,長崎を訪れた時に平戸島で3泊して,天主堂を巡ったり,平戸から生月島に渡って,隠れキリシタンの足跡を辿ったりしました。平戸と生月のそれぞれの資料館で,キリシタンの方々の信仰に関する様々な資料と共に納戸神を目にしました。生月島の資料館ではオラショ(数世紀前のカトリックの聖歌)のCDも入手しました。

 今日の夕方,指揮者の西本智美がバチカンのサンピエトロ寺院でミサの指揮をする番組がありました。ミサの合唱を放送する音楽番組かと思ったら…ドキュメンタリー番組で,良い意味で期待を裏切られました。

 西本さんの曽祖母は生月島の出身だそうで,生月島で今も祈りとして唱えられているオラショをバチカンの大聖堂で合唱するまでの様子を追った番組でした。

 バチカンで確認した処,確かにオラショは中世の聖歌であることが確認され演奏許可が下り,西本さんは練習の合間を縫って,生月島を訪れ,キリシタンの方々のオラショを特別に聴かせてもらう場面もありました。

 今回のバチカンでのミサの合唱は,東日本大震災の復興に対する同情が切っ掛けということで,何度か岩手を訪れていました。

 番組の後半は,バチカンの大聖堂での様子が映し出されていました。オラショの合唱でミサが始まって…

 ミサの間も,オラショを合唱している様子が流れていました。

 遠いアジアの東のハズレまで宣教師が訪れ,そこに信仰が根付き,そして激しい弾圧の後に,離れ島に潜伏して信仰を数百年継承したキリシタンの方々が深い悲しみの祈りと歌い継いだオラショが,西本さんの手によって,大聖堂のミサで歌われる… 見ていて涙がこぼれてきました。今年,一番感動した番組でした。

 番組の中で,生月島からの海の景色がしばらく映し出されていました。

 人間が こんなに 哀しいのに
主よ海があまりに 碧いのです
      遠藤周作 沈黙の碑